6: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/08/01(水) 00:49:00.12 ID:Ai+XpKnp0
彼女が黙っていると、周囲が場を繋いだ。
「瑞樹さんならイケますよ」
「スモックとか似合いそう」
「女子アナがアイドルに挑戦、これでいきましょうよ!」
その声を聞いて、瑞樹はほぼ脊髄反射的に、いいわね、とつぶやいた。
シンデレラのドレスを試着できるというなら、着てみたい。ガラスの靴だって。
とはいえ瑞樹は、この場の冗談として話が片付くと予想していた。
世の中そんなに甘くないわ。
だが、世の中の方は彼女に甘えた。
テレビ業界は停滞期にあった。
クイズ、雑学、単発短編のドラマ、一発屋の芸人、不愉快な政治ショーのローテーションに、視聴者はうんざりしていた。
刺激的な企画が必要だった。
そして、30手前の女子アナがアイドルに挑戦、というのは十分に刺激的だった。
話は瑞樹を余所にトントン拍子に進み、彼女が企画について知ったときには、万全の体制が出来上がっていた。
『川島瑞樹28歳、アイドルはじめました』
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