506:名無しNIPPER[saga sage]
2020/03/04(水) 23:33:00.55 ID:GYsMFmGgo
料理長「話の途中でごめんよ、はい、差し入れ」
マリ「ジュースとスイカ!」
みこと「ありがとうございます……」
料理長「私も混ぜてもらおうかな」
車掌「もう、いいところで話を遮るんですから」
料理長「え、そうなの?」
車掌「そうです。今日はお酒、飲まないんですか?」
料理長「飲まないよ。あの日は特別だったからさ。古い友人に再会できてうれしかったから」
車掌「……そうですか」
マリ「シャクシャク、うん、んまい!」
みこと「……料理長さん」
料理長「うん? どうした?」
みこと「……最後まで乗ってたんですよね?」
料理長「ヴェガに? そうだけど」
みこと「どんな気持ちだったのかなって……」
料理長「どんな気持ち……ねぇ」
車掌「そうですね、聞きたいです。最後の都市、福岡から出発してからのヴェガの雰囲気」
マリ「シャクシャク……」
料理長「乗客はほとんど降りてしまってるから、寂しくなったのは覚えてるよ」
みこと「……」
料理長「夢の崎の一つ前、阿蘇駅でも人は降りてしまって。
いよいよ次が最後の駅ってなると、もう人は乗ってないんじゃないかってくらいに誰もいなかった」
車掌「……」
料理長「寂寥感が広がる車内でも、ヴェガは走り続けていたよ。それが余計に、胸に来てね」
マリ「……」
料理長「普段は会いたくない奴がいてさ、顔を合わせればケンカばかりしてたんだけど……。
その時は、お互いに憎まれ口なんて出なくて……妙な気持ちになったもんだ」
みこと「……その人も、寂しかったの?」
料理長「そうなんじゃないかな。普段は高飛車で偉そうなことばっかり言ってたのに、
その時ばかりはさすがの嫌な性格もその空気に捉われてたんだよ」
マリ「あ、さっき言ってた余計な奴って、その人だったんですね」
料理長「そういうこと。今でも繋がりのある友人だよ」
車掌「確かに、特別な日ですね」
料理長「……うん。かけがえのない友人になったよ。ヴェガに乗ったおかげでね」
マリ「…………」
みこと「…………」
料理長「最後まで行くの?」
みこと「え、あ……はい……?」
料理長「ふふっ、まだ分からないって感じだね」
車掌「……」チラッ
マリ「…………」
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