317:名無しNIPPER[saga sage]
2020/01/17(金) 16:38:37.16 ID:KOzKQsUKo
秋槻「多分、あの子は今、沢山のことを吸収してるんだと思います。
それはきっと、次に繋がること。自分が成りたい自分になるために」
車掌「優しいんですね」
秋槻「そんなこと……。俺は、後悔してばっかりだから……
何もしなかったことの後悔が多かったから……」
料理長「ゴク……ゴク」
車掌「飲みすぎじゃないですか?」
料理長「これで終わりだよ。もう飲まないって」
秋槻「いい酒ですよね。買っていこうかな……。上司へのお詫びにでも」
車掌「お詫び?」
秋槻「仕事があるのに、俺はこの列車に乗り続けているので……あはは」
料理長「ふぅん……。どうして乗り続けたんですか?」
秋槻「……それは」
車掌「……」
秋槻「先が見えたんですよ」
料理長「先? なんです、それは」
秋槻「自分の未来……ですかね。
このまま降りて、帰っても……何も変わらない先が、未来が見えたんです」
車掌「……」
秋槻「だけど、『一緒に跳びたい』って言ってくれて、
降りずに乗り続けたらどうなるんだろうって」
料理長「ふふ、どうなるんでしょうね。仕事を放って旅を続けて」
車掌「菜々子さん、酔ってますよ」
料理長「これくらいの酒で酔わないよ」
秋槻「そうですね、どうなるかさっぱり……。でも、先が見えないからこそ、
面白いって思えて……不思議と楽しみだったりします」
車掌「是非、楽しんでいってください、この旅を」
秋槻「はい、もちろんです」
車掌「そういえば、京都駅の駅長から連絡がありまして。例の男性のことですが」
秋槻「あの軟派の男ですか」
車掌「なんとしても恥を掻かせたかったと供述しているそうです」
秋槻「はた迷惑な……」
料理長「何の話?」
車掌「鶴見さんに悪い虫が付こうとしたのを秋槻さんが助けてくれた話です」
料理長「ふぅん……なるほどね」
秋槻「思い返すと恥ずかしいですね……ははは」
車掌「夕方のローカル番組で取り上げられたそうですよ」
秋槻「え……!?」
車掌「京都駅で逃避行が? なんて伝えられていたそうです。
ですが、お二人の名前は出ていないようなので、ご安心を」
秋槻「はぁ……ビックリした」
料理長「一つ、言っておきたいんだけど」
秋槻「はい?」
料理長「あの子の憧れがもう一人居ること、忘れないように」
秋槻「……」
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