72:名無しNIPPER[sage]
2018/12/29(土) 13:59:40.30 ID:BWF1i+bVO
目覚ましが鳴り眼が覚める。いつも通りの変わらない部屋の中でひと伸びしたあと、男は部屋を出て行く。
「寒い……」
男は無意識にそう呟く。住んでいる『アザレア』というアパートは家賃が安いが特殊な建物で、部屋の中に台所が無いのだ。全部屋2L、こんな物件を探せと言われる方が難しいだろう。
洗面所とトイレは共有なので気温がマイナスになろうが顔を洗う為には部屋を出る必要があるのだ。
「寒い……」
蛇口をひねると氷のように冷たい水が出てくる。以前はこの共有の洗面所の水道はよく凍っていたらしいが、住民からのクレームが相次いだ為対策がとられそういう事は無くなった。
洗面所にかける金があるなら部屋に台所をつけてくれ…男はそう思いながら顔を洗い会社へ行く為の身支度を済ませる
「行ってきます」
男の台詞に答える人物は居ない。挨拶は口に出せと親から躾られた影響で意味もなく言葉を発しただけだった。
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