386: ◆B54oURI0sg[sage saga]
2019/05/09(木) 05:59:11.72 ID:P2dcfLCDO
『――朝潮――』
ハッとして我に返る。しまった…まさかまたぶり返しそうになるなんて自分でも思ってもみなかった…
「ごめんなさい…たぶん私は今、自分に重ねてしまっていました…」
自分と彼女、どちらがより不幸かなどとむなしい比較なんてする気は無いけれど。取り返しが付かないという意味では共通しているのかもしれない
「奪われた側がここに居て、奪った側が生きている、なんなんでしょうねこれは…」
『…珍しい話じゃないよそんなのは』
「ええ解っています。この世は理不尽に溢れている事くらい身を持って知ってますしね…」
いつかの2000人の犠牲者もそうだ。彼等彼女等は何もしていない、それでも死ぬ羽目になった。それをした者達もまた生きている
それぞれにそうするに足る理由はあったのだろう。だけどそれに見合う結果を残せているとはとても思えない、つまりは無駄死にだ
「命までも代償にしておいて後悔してますは都合が良すぎますが…かといって死んで償えるものでもない」
『背負い続けるしか無い、いつか天から罰が下るまで、自ら終わらせる事は償いにはならない』
ああ…そうだ、彼女もそうだった。彼女も償い方を探しているんだ
この世界には加害者と、被害者と、傍観者しか居ないのかもしれない。それを変えようとする人間すらもそこに巻き込まれて苦しむ
この世は苦しみに満ちている。司令官…誰か…
私には何も出来ない、何処へも行けない。だったらせめて祈ろう、何の意味も無いのだとしても。私の大好きだった人に、大切な仲間に、お世話になった人達に、そして…私の事で罪に苦しむ人達にも
救いがありますようにと
900Res/720.55 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20