313: ◆B54oURI0sg[sage saga]
2019/04/16(火) 05:30:54.62 ID:t/ppvMKDO
本当はこんな場面、部外者の私達が見るべきでは無いと解ってはいた。だけど私は目が離せなかった
こんな…こんな穏やかな顔を死を前にして出来る人間が居るのだと私は知らなかった
「私とは違うんですねきっと…私が彼の立場ならどうせ死ぬからと自暴自棄になって何をするか…」
そうして二人は屋上から海を眺めながら最後の時間を過ごしている。穏やかに思い出話をしながらそれはそれは幸せそうに、これから死が二人を別つとは思えない程に
そして彼は天城さんにこの綺麗な海を守ってほしいと言い、眠るように静かに息を引き取った。苦しみなど欠片も感じていないかのように微笑みを浮かべたままで
残された天城さんは叫ぶでもなくただ静かに泣いていた。眠っている彼を起こさないように。私にはそう見えた
そして彼女はポケットから2つの錠剤を取り出し握り潰し捨てる
「あれは…もしかして…」
『うん…』
やはり用意していたのだ。後を追う為の薬を。しかし彼女はそれを捨てた。生きていく為に、約束を果たす為に
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