191:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:37:12.38 ID:rr1Aanow0
「あとは……なんでそんなことをしているのか、か」
「さぁ? そこは気にしないでいいんじゃない」
本音を言うと何故かってのもまあ、想像くらいはつく。けれど今は関係ないことだ。どのみち『妹がいない』なんて言ってしまう人の気持ちなんて理解する気はない。
「それより、今はこっち。五巡目のとこ」
34566BCDGG五六七 ツモ:A 打:D
「ドラを引いたところだな」
「なにか思わない?」
「……いや、特には」
「ここで宮永照がリーチをかけたら最低でも三翻40符で7700点になる、二翻40符は超えるでしょ。宮永照は確かにいつもよりハイペースだったけど、だからといって闇雲にリーチをかけることはしてない。リーチするラインの変更には、多かれ少なかれ理性が入ってる。自分の介入する余地を放棄する前に、リスクとリターンを天秤にかけた上で行われてるのよ」
なにかしらの返答が来るかとも思ったけれど、ゆみは俯き気味に口をつぐんまま動かない。最後まで聞いてから何か言うということかもしれない、とりあえず進めよう。
「で、五巡目でかけられることのなかったリーチと六巡目でかけられたリーチを比べると、六巡目のほうは六索を切ったことで出和了は期待できなくなってるけど、代わりにツモの確率は上がってる。五巡目のほうはシャボ待ちだからツモの確率は低い反面、スジ引っ掛けになってる。私は五巡目のほうが好きだけど、ここは好みや相性の問題だと思う。だから両者で明確に違うのは打点ね。ここの差でリーチをかけるか否かが決まった」
五巡目リーチは安くて7700、ツモで11700、さらに裏ドラ一枚で12000。六巡目リーチは安くて11600、ツモで12000、裏乗れば18000だ。
「この段階で和は字牌を切っていってる状態、聴牌は遠そうだし高い気配も特にない。優希は高さより早さを重視してるタイミング。相手の手が安いとなれば、リーチをすることで振り込むリスクより打点を上げるリターンが上。だから宮永照はリーチをかけた。……って考えたんだけど、どうかしら?」
「話は、それで全部なのか?」
「ここまでで半分くらいね。本題はこれからだし」
ここまでのは私の思い付きのきっかけ、言うなれば前座のようなものだ。
「なるほど。まあ、求められてるなら一応指摘は入れてみよう。今の片岡さんは高さと早さの切り替えが効く。あのときの片岡さんに安手で良しと言ったのは私たちだ。片岡さんの手が安いという判断材料を、宮永照が持っているはずがない」
ゆみの言うとおりだ。さあ、ここから秘密の作戦会議といこう。
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