9: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2018/07/25(水) 17:47:47.49 ID:EN7B3i0VO
少し意地悪し過ぎただろうか。
垂れる釣り糸の位置をそのままに、座った状態で器用に一歩分俺から離れる肇。
「すまんすまん、悪かったって」
「すーん、聞こえません」
「……肇ー。おーい、せめてこっちを向いてくれると嬉しいんだが」
「何も聞こえません。川のせせらぎしか聞こえません」
ここで、何も聞こえないんじゃなかったのか? なんて言ったら尚更ご機嫌ナナメのへそ曲がりになるんだろうな、なんて。
既に十分不機嫌みたいだが。
機嫌どころか身体の向きが斜めになってしまっている。
「……俺が悪かったって」
「……何が悪かったか、分かってますか?」
「…………」
何故、してやったりみたいな顔をされてらっしゃるんだろう。
「はい、分かってないって反応ですね。プロデューサーっていつもすぐ謝りますけど、『俺は別に悪い事したと思ってないけど、肇が機嫌悪そうだし大人な俺が大人しく謝ってさっさとこの場を収めよう』なんて考えてるんじゃないですか?」
……いや、別に……
ほんの数秒前まではちゃんと、俺がやり過ぎたから謝るべきだって思ってたけどさ……
……うん、まぁ。
割と、いつも通りの肇だな。
「……意地悪な事言って悪かったって」
「……素直に謝られると、私が子供みたいじゃないですか……」
はて……みたい、は必要だったのだろうか?
言わないが、流石に。
そこも含めて肇の魅力だと思ってるし。
そんなところが可愛いところだと思っているし。
「……釣れないなぁ」
「……ですね……少し、移動しましょうか」
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