9:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 23:39:55.06 ID:e+N85h8HO
高校に入ってすぐに、文学部のドアを開いた。中学では見つからなかった友人が、ここでは見つかるかもしれないと。
果たしてそこにあったのは、文学部というよりはオタク文化研究会だった。
棚に並んでいたのは可愛らしい挿絵が入ったライトノベルに、最近話題のアニメのDVD。
井伏どころか、蜘蛛の糸も羅生門も城の崎も走れメロスも、そこにはなかった。
決して部員の彼らやそれらを否定するつもりはなく、私は落ち込んだ。少なくとも私が期待した文学部ではなかった。
入部の勧誘は強く受けたけれど、期待と現実のギャップが強すぎて私はそれを断った。結果、中学生活の延長みたいな現在がある。
「なるほど。本好きな人って何でも読んでると思ってたけど、そういうわけじゃないんだ?」
「いや、読むことは読むけど」
私だってライトノベルも読めばアニメも見る。ただ、そこにそれを求めていたわけではないというだけで。
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