4:名無しNIPPER[saga]
2018/07/25(水) 01:10:30.74 ID:owtnqPo10
看護婦「あのね、私も、体が弱くて、よく寝込んでいたの。だからかな、加蓮ちゃんを見た時、どこかシンパシーを感じたんだ。」
加蓮「しん、ぱしぃ? なにそれ?」
看護婦「感情移入、ってわからないかな。同じ気持ちかな、って思っちゃった。それでね。私ができなかったことを、教えておこうと思ったワケ。勝手だよね。」
看護婦さんの方を見ると、オレンジ色に照らされながら、少し赤くなっているみたいだった。
看護婦「女の子の楽しみ、ネイルもそうだし、おしゃべりも。好きなひとのことを考えたり、ビーズで遊んだり。」
加蓮「お部屋に戻ったら、またしてくれる?」
看護婦「もちろん! でもね、もう少ししたら、私も違うところに行かなくちゃいけないんだ。断ったんだけどね。「名誉なことなんだ!」なんて婦長さ、えらい人が怒鳴るの。もー怖くてさー。」
加蓮「大変だね。おとなって。」
看護婦「ふふっ、そう、大変なんだ。でもね、嬉しい。」
加蓮「どうして?」
看護婦「大きくなれたし、加蓮ちゃんに会えた! 色んなことを見たし、ネイルも上手に引けるようになった。勉強した甲斐があったよー。」
加蓮「ほんとに、どこかいっちゃうの?」
看護婦「うん。といっても、半年後くらいだから、加蓮ちゃんがいる間は大丈夫だよ! きっと。だから、がんばろうね。」
私はあの時、看護婦さんになんて返事したんだろう。
がんばる、という言葉がキライだったから、いまのままがいい、なんて答えたかも。
ただ、看護婦さんが寂しそうに微笑んでいたのを、忘れられなかった。
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