退廃した世界で一人だけ情熱を失っていない博士ちゃん「ついに薬が完成したぞ!」
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1: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:15:13.12 ID:+0FXIwOl0
静かな研究室にプシューッと空気の抜ける音が広がった。
白髪で白衣、上から下まで白を身にまとった男が、部屋の中央に置かれた円柱状のガラス管からピンク色の液体で満ちた試験管を取り出した。

「遂に完成したぞ!有史以来、人類が夢に見た新薬だ!」

白髪の男の隣には、若い男が一人。彼もまた染み一つない白衣に腕を通している。

「博士、おめでとうございます。ところで、これまで手伝ってきて何なのですがこの薬は一体何なんですか?」

「なに?君は助手だというのに、そんなことも知らずに手を貸してくれていたのか。まあいい、これはかつて秦の始皇帝も目指した不老不死を体現する薬なのだ」

「不老不死ですか?」

「そう、この薬を一たび飲めば病気にはならず、ケガもすぐに治ってしまう、老いもせず、永遠に生き続けることができる」

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2: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:16:00.52 ID:+0FXIwOl0

助手の訝し気な表情を見ると、博士は口角を上げニヤリと笑い、試験管の液体を一気に喉に流し込んだ。
そうして、机の引き出しから銃を取り出し自身の頭を打ちぬいた。

「は、博士!?」
以下略 AAS



3: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:16:28.64 ID:+0FXIwOl0

――――――

「いやあ、博士の発明は世界を変えてしまいましたねえ」

以下略 AAS



4: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:16:55.46 ID:+0FXIwOl0

不老不死の薬は、世界を大きく変えた。
あまねく医療関係者を退職へと追いやった一方で、科学技術や芸術の分野において一段越しでの発展を成し得たのだ。
それもそのはず。好きでもない仕事を、家族を養っていくためだけに勤めていた。そんな人々が、責任感から解放され自身の興味のあることに力を注いだのだから。
優秀な頭脳を持った医療関係者たちが、転職したことも世の流れに拍車をかけた。
以下略 AAS



5: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:17:22.51 ID:+0FXIwOl0

「まったく、アンデッド溢れる世界で一体どんな薬を作ろうって言うんですか?」

「……止めてくれるな助手よ。どうやら、私が飲んだ不老不死薬は後に作られたものより強力だったらしい」

以下略 AAS



6: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:17:49.72 ID:+0FXIwOl0

――――――


「できましたねえ博士……」
以下略 AAS



7: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/07/24(火) 18:18:16.96 ID:+0FXIwOl0
――――――

『情熱的不老不死者』おわり

――――――


8:名無しNIPPER[sage]
2018/07/25(水) 00:00:12.83 ID:dQtkrfruO
ショートショートって最近見ないけどやっぱいいよね
無限ループぽいけど割と幸せそうでなにより




9:名無しNIPPER[sage]
2018/07/25(水) 00:34:02.42 ID:df0lsD54o
博士ちゃんじゃないのかよ


10:名無しNIPPER[sage]
2018/07/25(水) 00:34:41.00 ID:df0lsD54o
博士ちゃんじゃないのかよ


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