3:名無しNIPPER[saga]
2018/07/23(月) 16:22:29.20 ID:erVlFG5rO
〜熊本〜
みほ(──お母さんが死んだように眠ってる。畳の上にブランケットを敷いて、お腹を出して。お母さんの真っ黒髪の毛、血だまりみたいに広がってる……)
みほ(お母さんは、でべそ)
みほ(……お母さんのお腹……私とお姉ちゃんが生まれた場所)
みほ(……。)
みほ(お母さんのおへそ……なんだか、おしゃぶりみたい……)
みほ「……あむ」
ちゅう、ちゅう
みほ(薄い塩味……)
しほ「──みほ」
みほ「あ……」
──ちゅぽんっ
みほ「……。」
しほ「……今、何をしていましたか。納得のいく説明をなさい。でなければ、私は貴方をぶたねばなりません」
みほ「…………。」
みほ「お母さんあのね」
しほ「なんです」
みほ「私、お母さんのおなかの中にいたころのこと、覚えてる」
しほ「そんな戯言が弁解の代わりになると思ったら──」
みほ「──『なれるものなら、なってみなさい』」
しほ「……何ですって?」
みほ「『私や、貴方のお姉ちゃんにはできない生き方を、やれるものなら、やってみなさい、なってみなさい』」
しほ「…………。」
みほ「……海の近く、だったかな。ザァァァって、間延びした雑音がかすかに聞こえてたから……、お母さん、私にそう言ってくれた……」
しほ「…………………………。」
しほ「ならば……『立派な戦車のりにおなりなさい』、その言葉も覚えてるはずですね」
みほ「……。」
しほ「だとしたら──貴方は見事に、裏切ってくれたわね」
みほ「……。」
しほ「大洗への引っ越しの準備は、もう終わったの」
みほ「……うん……」
しほ「ならいいわ。では昼寝の邪魔をしないでちょうだい。……疲れたのよ」
みほ「………………はい、ごめんなさい、お母さん。」
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