白菊ほたる「あの日の写真」
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10: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:08:01.63 ID:iF9TJVEt0

 
 ――おばさんは、白いレースの服を着た私をすすき野原に立たせて、満月を背にした写真を撮りました。

 明るい満月を背にして淡く光るすすきの中でちいさく、照れたように笑う私。

 その光景はなんだか、夢みたいで。

 残念なことにその写真は賞をいただけませんでしたが、私はその写真がとても好きになりました。

 おばさんは県展が終わったあとその写真を私にくれました。

 だけどいつもの『不幸』で、その写真は冬に空き巣に入られたとき、いくつかの品物と一緒に盗まれてしまいました。

 写真はなくなって、おばさんは岡山からどこかに引っ越してしまって、私にはもとどおり、陰気だ、不吉そうな顔だと指差される日々が戻ってきました。

 おばさんが『綺麗なかわいい顔だ』って言ってくれたことも、まるでなかったことみたい。

 私はまた俯いて、おどおどとしたまなざしで過ごすようになりました。



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