6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/07/16(月) 22:25:28.82 ID:/aS1s4K/0
○
少し歩いて、通りを一本入ったところにいつもどおりプロデューサーの車は停まっていた。
私が来たことに気が付いたプロデューサーはドアのロックを解除してくれる。
簡単とはいえ、変装している私にこの距離で気が付くのだから、侮れない。
助手席のドアを開けて乗り込む。
冷房の効いた車内は快適で、外の暑さが嘘みたいだ。
「おかえり」
「うん、ただいま」
普段どおりの挨拶。
今日会うのは初めてなのに、プロデューサーのもとに行くと、ただいまって感じがするから不思議だ。
理由は上手く言えないし、何故だかもよくわからない。
逆もまたそうで、プロデューサーのもとを出るときは、行ってきます、という感じがする。
この安心感が私は好きだった。
「その帽子、いいね。似合う」
「ふふ、でしょ。っていうか、よく帽子かぶってるのに私って分かるよね」
「何年凛のプロデューサーやってると思ってんの。気付くよ」
「そういうものかな」
「そういうもんだって」
「……まぁ、いいや。プロデューサーはお仕事はもういいの?」
「ん。ああ、大丈夫。直帰するって千川さんに言ってあるし」
「そっか」
「凛はこのあとは?」
「さっきお母さんに電話しといた」
私がそう言うと、プロデューサーはにっと笑う。
「じゃあ久しぶりにご飯だな」
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