3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/07/16(月) 22:23:15.24 ID:/aS1s4K/0
○
いらないわけないでしょ。
心の中で呟いてメールアプリを落とし、次いで電話帳を開く。
その最上段に設定してあるプロデューサーの名前を通り過ぎ、二番目の家の固定電話へと発信した。
一度のコールの後にすぐに電話は取られ、母の軽快な声が響く。
『お電話ありがとうございます。フラワーショップ渋谷でございます』
それに対して「私だけど」と返す。
すると、母の声はワントーン落ちた。
「ご飯ってもう作っちゃった?」
『まだよー。お父さんが配達から帰ってきたら作ろうかと思ってて』
「あ、よかった」
『ご飯、食べてくるのね』
「うん」
『あ、お客さん来たから……またね。行ってらっしゃい』
「あ、ごめん。うん。行ってきます」
今日忙しかったのかな。
通話が切れたことを示す電子音を吐くのみとなった携帯電話を降ろし、手伝いができないことを申し訳なく思った。
しかし、こんなことを言うと決まって母は「凛が生まれる前は二人だったし、生まれてからしばらくは育児もしながらだったから、今なんてぬるいくらいよ」と小突いてくるのだった。
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