40:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:12:35.17 ID:TXxgAIfuO
静かな聖堂を、祈りで充たそうとしました。
咆哮のようなセイラムの声が、静寂を破りました。
「ふざっけんなッ!!」
次いで、激しく扉を開け放した音。待ちなさい、という神父様の叫びも届きます。
私は弾かれたように立ち上がって、食堂の方へ駆け出しました。
途上の廊下の角で、セイラムとぶつかりました。私は彼女の勢いに負け、尻もちをついてしまいます。彼女は私を見下ろし、少しだけ迷うような時間を持ったあと、目を逸らして、また強い足取りで床を蹴ろうとしました。
「待ってください!」
願いの声を投げると、彼女に少しのためらいが生まれたようでした。急いでその手を握ると、振り払われることはなく、彼女の体からはだらりと力が脱けました。
「いったい、どうしたんですか」
セイラムがこちらを向くことはありませんでした。その身体の震えに気付き、そっと彼女に手を添わせると、手の甲に雫が落ちました。
セイラムの涙を見るのは、これが初めてでした。
信じられないような気持ちで彼女の身体を抱くうちに、神父様が、事実を持って追いついてきます。
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