22:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:23:22.32 ID:eCrKDArS0
「ハナコもよろしくって」
「わんっ」
「あ、あはは……」
「……でもよく考えたらさ、ハナコがいなかったらこうやって偶然会うこともなかったんだよね」
「そう、なんですか?」
「うん。いつもの散歩コースが工事中で塞がれててさ。だからこっちの河原の方に来たんだけど、そしたらハナコ、急に走り出して……」
油断してたらリードを手放しちゃったんだ、と凛は言った。
「そしたらさ、まさかあの時わたしが保健室に運んだ人にハナコが飛びつくなんて……おもしろい偶然だなって」
そう言って凛はハナコの頭を手のひらでわしゃわしゃして褒め称え、それから卯月に嬉しそうに微笑みかけた。
「……ふふっ、確かにそうかもしれないですね」
卯月は思った。
ハナコとじゃれてる時の凛は、もとの無愛想な表情や険しい目つきから打って変わって、本当に幸せそうな素敵な笑顔をしている。
(笑顔……そっか、私……)
ひるがえって考えるのは自分のことである。
忘れていた大事なことを思い出させてくれた、そんな気がした。
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