33:名無しNIPPER[saga]
2018/07/11(水) 22:42:16.05 ID:TUAcnqRm0
「あ、あぁ…お…じいちゃ…」
一人孤独に打ち震えている中で思わず死んだお爺ちゃんのことを呟いた。
これは自業自得だ。あの日、私がお爺ちゃんをこの山に捨てなければ…
私たち家族がお爺ちゃんに歩み寄ればこうはならなかった。
数十年前、お母さんはこの地で発見されたお爺ちゃんの遺体を確認することはなかった。
私とお爺ちゃんへの罪悪感でこれ以上の面倒に巻き込まれる余裕はなかった。
そんなお母さんだけど死に様は悲惨だった。
死に際でお母さんは何度もお爺ちゃんに謝罪していた。
『ごめんなさい…私が悪かった…』
その言葉を何度も何度も叫びながらお母さんは亡くなった。
そして私もまた…あの時のお母さんよりも酷い死に様を迎えようとしている…
この寒さだ。おまけに年寄りの身体では凍え死ぬのは間違いない。
フフ…これもすべては自業自得…
確かに初恋は成就した。今まで地味に生きてきた私には身の丈にも合わない恋だった。
けどその代償は大きかった。だからこそ思う。
人生とはどこかで帳尻が合うように作られているんだ。
そしてもうひとつ危惧するのは孫の次郎。
次郎も将来きっと罰を受けるだろう。あの子にどんな罰が下されるのかわからない。
だけど思う。その罰とは間違いなくあの子にとって最悪な形で引き起こるものだ。
そう思うと次郎に恨みなどなかった。むしろ哀れみすら感じる。
あぁ…意識が遠くなってきた…もうすぐ私もあの世へ行くんだ…
夫と同じ天国に逝けたらいいなぁ。
いいえ、それは無理よね。それじゃあお爺ちゃんやお母さんと同じところかしら。
だとしたら今度はちゃんと謝ろう。
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