67: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 17:32:39.08 ID:LgMjPCNT0
その代わりに「良いじゃないか!」と声をかけてくれた人がいる。
舞台を端から見ていたプロデューサー。それから台本を片手に笑う木無塚さんだ。
「ここまでは君の演出通りだが。さて、その調子でラストまで体力は持つのかな?」
「持たせますし、ダメなら根性でやり遂げます」
舞台の間はプロデューサーに預けていた眼鏡を受け取りつつ、私が笑ってそう返すと。
「ちょっと塚さん。うちの紗代子を苛めないでください」
「よく言う。彼女の瀬踏みをさせた癖に」
「そうですよプロデューサー。私、スッゴク勇気を出したのに……。
アレが全部、役作りの出来栄えを試されていただけだったなんて」
二人から集中砲火を浴びて、「おっと、他の子の様子も見てこなくっちゃ」なんて、
プロデューサーはわざとらしく言って逃げて行った。
その背中を目で追いかけながら、私は思わず木無塚さんと一緒に笑い声をあげる。
「だが、まぁ、無理をしない程度に後半も頑張りなさい」
「……その約束は聞けないと思いますよ。
だって、最初から最後まで全力の演技。それが新生シャベルの娘ですから」
そうして労ってくれたお話の産みの親へと意気込みを語り、私はメイク直しに向かった。
……そうとも、彼に言った通り。
後半になれば前半よりもっと、この体が空っぽになるぐらい全力の演技をぶつけるんだ!
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