8: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2018/07/03(火) 00:09:11.92 ID:Wze3yOnD0
「最近なんかいいのあったか?」
「これなどは、形も大層よくー」
「どれどれ……うわ丸っ! ほぼ真球じゃんこれ! すげえ!」
指でつまめるそれはビー玉のようで、しかし質感は確かに石だった。
山の川沿いの砂利から見つけたらしい。
「清流に磨かれし細石の中には、かように丸みを帯びるものも多いのですー」
「それにしても凄いな。よく見つけたよこんなの」
「探し物こそ、わたくしの最も得手とするところでありー」
ふふんと控えめに背を逸らす芳乃。珍しく自慢げだ。
「そなたにも、石ころ集めの良さが伝わりましてー?」
「そうだなぁ。子供の頃は俺もいい感じの石とか集めてたんだが」
「ほほー」
「今はあれこれ忙しくてなー。山にも川にも気楽に行けなくなっちまった」
結構、宝探しに近い感覚があるんだよな。子供なら誰しも一度は嗜むんじゃないだろうか。
カッコいい形のものがあったら友達に自慢したり、あげることもあった。
どのみち昔の話だ。
仕事優先とか世間体とか、なんかそういう大人っぽい言い訳ばかり先に出て、すっかり遠ざかってしまっていたけど。
などと話しながら二人、夕暮れの街をてろてろ歩く。
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