渋谷凛「夏がはじまる」
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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/07/01(日) 03:31:33.29 ID:kdkVKxIA0



やはり、というか何というか、私にタオルケットをかぶせてきたのはプロデューサーだった。

「ほら、くるまって。日も沈んで気温も落ちてきたんだから」

間髪入れずに、私を簀巻きにしようとしてくる。

流石にやられっぱなしでいるわけにもいかず、椅子から立ち上がる。

その拍子に膝の上に置いていたスポーツドリンクの入ったボトルが砂浜へと落ちてしまった。

「あ」

気付いたときには既に遅く、中身のほとんどは砂に吸い込まれていた。

「あーあ。せっかく俺が用意したのに」

「そもそも私が落とす原因を作ったのはプロデューサーでしょ」

「?」

「そんな顔してもダメだから。っていうか、スタッフの人たちに挨拶は終わったの?」

「ああ、うん。ごめんな、そんな格好で待たせて」

プロデューサーはどこかバツが悪そうに、私から目を逸らして、言う。

自身の今の格好を思い出して、そういうことか、と得心した。

ビキニ風の衣装にミニ丈のパレオを纏っただけの姿だから、目のやり場に困るのだろう。

「午前中に普通の水着も見たのに、なんで今更恥ずかしがるわけ?」

ちょっとからかってやるか、と悪戯心がふつふつと沸いてくる。

「別に恥ずかしがってるわけじゃない。それに、風邪ひかれちゃ困るのも事実だろ」

「ほんとに?」

「ほんとほんと。それと、向こうに履くもんと羽織るもん、それから靴用意してあるからな」

「ん。ありがと、上から服着ちゃったらいよいよ見納めだけど、もういいの?」

目の前に躍り出て、くるりと回って見せる。

回転に伴って、パレオもひらひらと舞った。

「いいから早く着てくる!」

またしてもプロデューサーは私にタオルケットをかぶせ、その上で追いたててきた。



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