1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/07/01(日) 03:29:49.71 ID:kdkVKxIA0
太陽が完全に姿を隠して、真っ暗になった浜辺を人工の光が照らす。
その光を頼りに、スタッフの人たちはてきぱきと機材を運んだり、ステージを解体したりしている。
ほんの一時間前に私が歌って踊っていた場所は、鉄の骨組みがあるのみで、もう跡形もなかった。
「終わっちゃった……なぁ」
呟いて、ストローに口を付け、スポーツドリンクを飲む。
この気温では熱くなっちゃったかな、と思ったけれど、ステージ前に飲んだ時と変わらずしっかりと常温で管理されていた。
プロデューサーが日の当たらないところに置いておいてくれたのだろう。
こういうとこ、ほんとにマメだなぁ、などと考えながら、ふたくち目を飲みこんだ。
汗を流して、疲れた体に塩分と糖分が染み渡る。
自然と、ふー、と息が漏れてしまった。
「お疲れさん。風邪ひくぞ」
そんなところに、声と共にばさぁっと雑に頭から大きなタオルケットをかけられた。
こんなことをするのは一人しかいない。
私がタオルケットから顔を出すより先に「ちょっと」と抗議した。
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