【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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509: ◆A81ULt4CV6[sage saga]
2018/07/29(日) 03:15:55.59 ID:EQtXuMvN0
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 微かに響く物音に、薄っすらとまぶたを上げる。

 視界に映る光景を、寝ぼけた頭で識別していく。まだ薄暗いラボの中。もうすっかりと見慣れた風景に、ゆっくりと視線を這わせていく。と──

『む、助手ではないか……』

 これまた見慣れた後姿を視界が捕らえる。いつもの改造制服の上から、愛用の白衣をまとった、科学者然とした凛々しい立姿。
 俺はそんな紅莉栖の背中を、半開きの目で追いかけながら思う。

『何をしているのだ?』

 日の出からさして時間はたっていないのであろう。窓から差し込む日差しは弱々しい。真っ暗というほどではないにしろ、しかし、ラボ内の光源が不足している事は、明らかである。
 そんな薄暗いラボの中を、照明も点けず、紅莉栖はウロウロと歩き回っているのだ。

 少し歩いてはピタリと止まり、棚や机や乱雑に積み上げられた荷物に視線を這わせる。そして、しばらくするとまた歩き出す。

 そんな行動を繰り返していた。

 まるで、何かを探し回っているように見える紅莉栖の行動。その様を目で追う俺に、微かな疑問が生まれる。
 そして、たまに聞こえてくる『違う』とか『分からない』とか『無意味だ』といった独り言が、生まれた疑問を膨らませる。

『直接聞いた方が早いな』

 そう考え、俺は横たえていた身体をゆっくり起こす。ソファが小さな軋み声を立てた。

「何をしているのだ、助手よ?」

 白衣をまとった華奢な背中に向けて、静かに問いかける。と、紅莉栖の肩が驚いたように小さく跳ねた。

「あ……岡部、起こしちゃった?」

 慌てた様子で振り向く紅莉栖。その無理やり作った笑顔の中に、少なからず狼狽の色を感じ取る。

「どうした? ラボに来たなら、起こせばよいものを」

「あ、うん。でも、よく寝ているみたいだったから、悪いかと思って……」

 紅莉栖らしからぬ、どことなく歯切れの悪さを感じさせる物言い。それはまるで、何かやましい事でもあるような、そんな口ぶりに──聞こえなくもない。



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