【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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442:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/24(火) 23:49:16.15 ID:kVyODNzX0
『よもや、俺の中に息づく『鳳凰院凶真』を、暖房器具か何かと混同しているのではなかろうな?』

 などと思いつつも、しかし、紅莉栖の言い分にも、一理ある。現状のラボ内では、鳳凰院凶真モードの体力消費は、あまりにも著しすぎた。

「ふ、仕方ない。今日はこれくらいにしておいてやろう」

 俺はそう言うと、左右に広げていた両手を収め、額に噴出していた汗を、袖で拭う。と──


「ありがと」


 思いがけない謝辞が、紅莉栖の口から零れ落ちた。
 そんな言葉に、俺は少しだけ驚き、そして同時に傷ついてしまう。

「お、おい。止めただけで礼を言われる程に、マッドサイエンティストは嫌われているのか?」

 どこかドギマギとした俺の問いかけに、紅莉栖は一瞬、きょとんとした顔を覗かせるも──

「なにを勘違いしてる。別に、その事について礼を言ったわけじゃない」

「……?」

「私は、これの事に対して、礼を言ったの」

 そう言うと、紅莉栖は手にしていた擬似団扇をテーブルに置き、その代わりに小さな金属製の人形を、華奢な指先でつまみ上げた。

「あんたが、これを処理してくれたからこそ、私も、私の書いた論文も、そして、パパも──」


 ──開戦の主犯にならずにすんだ──


 少し、伏せ目がちな瞳を作ってそう言うと、摘んだ人形を両手で包み込む。

 ソファに腰を据えて、身体を縮こまらせる紅莉栖。その姿を見て、俺は問う。

「それはつまり、俺の話を全面的に信じて理解した……という事でいいのか?」

 俺の問いかけに、紅莉栖は少しだけうつむいたまま、微かに頷いて見せた。

 そんな行動を見て、俺は、紅莉栖が俺の話をよく理解しているのだと、そう感じた。

『急に教えてくれと言われたときは、流石に驚いたが……』

 だがしかし、目の前に見える紅莉栖の姿に、俺は長々と話して聞かせた『鳳凰院凶真の武勇伝』に、ちゃんと意味があった事を知り──

『まあ、結果は上々か』

 と、微かに胸を撫で下ろした。



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