5: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:41:31.55 ID:XuoQ6Ng60
ぱちぱちと雨粒が窓を叩く中で、
スピーカーからはゆったりとしたスローバラードが流れていた。
癖の強い男性の歌声が、綺麗なピアノの旋律に乗って私に触れる。
不思議と嫌な気分のしない、すんなりと染み込んでくるような
メロディに耳を傾けていると、プロデューサーが探るような口ぶりで話し出した。
「それで、さ。琴葉」
「はい」
「この前のことの返事だけど。アレだって、いい加減答えておかなくっちゃな」
その時、ぱしゃんと車が水を跳ねた。
とくん、と私は顔を伏せた。
彼の目からは、ルームミラーに映る姿がどれほど小さく見えてるだろう。
気づけば自分の膝の上で、私は痛いほど両手を組んで握りしめて。
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