1: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:33:36.71 ID:XuoQ6Ng60
===
聴けば、たちまちのうちに心が弾むご機嫌なサックス。
そう表現するのがピッタリなイントロから始まったその曲は、私たちにとっては思い出の。
それは、丁度一年前。
地方で行われた撮影に、プロデューサーと二人きりで向かった帰りに知ったナンバー。
夜の高速は雨に降られ、車道は珍しいほどに開けていた。
トンネル内に等間隔で並ぶ照明を一定のリズムで追い越して、
対向車も、後続車もいない道を滑るように車は走っていく。
私は昼間の疲れが出ていたのか、車体を打つ滑らかな雨音と、
揺りかごのように揺られる振動に当てられて、つい、ウトウトと船を漕いでるような有様で。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:36:03.92 ID:XuoQ6Ng60
そんな中でも、プロデューサーはしっかりとハンドルを握りしめ、
ワイパーの向こう側へと目を凝らし、つまらない事故なんかを起こしたりしないよう、
細心の注意を払って運転を続けているようだった。
3: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:37:44.12 ID:XuoQ6Ng60
……だけどこんな風な一本道じゃ、地図を見てガイドをするようなこともできない。
そもそも車にはナビもあるし、運転を交代することも、
睡魔のせいでお喋りの相手になることもできないでいるお荷物な私。
4: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/29(金) 19:39:28.01 ID:XuoQ6Ng60
言って、彼がナビの表示する画面を指す。
見れば、確かに今の現在地から、
後数キロも走れば到着するような距離だった。
19Res/12.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20