【ミリマスSS】「桂馬が跳ねたら」
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25:名無しNIPPER[saga]
2018/08/18(土) 16:20:06.51 ID:DgRDLX8+O
「では、私はどんなアイドルになればいいのでしょう~?」

さぁ、きた、と思った。
いままで何人のアイドルからこの質問を投げかけられてきたことか。
そしてその度に強く強く感じた。

「この問いかけに答えるためにプロデューサーをやっているんだ」

と。
まだ原石の状態の少女を宝石にするための最初の研磨。
こんなにも怖くて、冷や汗をかいて、身震いして……。
けれどそんなことがどうでも良くなってしまうほどに「光栄」なことが他にあるだろうか?

「そうだな…美也の好きな駒は?」

「将棋の、ですか~?」

「そう、将棋の」

そう言われて盤上に目をやる美也。
きっと、一つ一つの駒に何かを問いかけているんだろう。
やがてその対話を終え、再び俺を見ながら言った。

「桂馬、ですかね~。ピョンピョンしてますから~」

「後ろにはピョンピョンできないぞ?」

「前だけ見ながらピョンピョンしていけばいいんですよ~」

「はは。答えが出たみたいだな。少なくとも、美也の中では」

「……おぉ~!おぉ~!!おぉ~!!!」

パチパチ、と何度も何度も手を叩きながら、立ち上がった美也。

「桂馬美也に改名してもいいですかね~?」

「いや、それはダメだろ……」

「ダメですか~。ではピョンピョン宮尾はどうでしょう~?」

「ダメダメですね~」

「ダメダメですか~、そうですか~」

ただ前だけを見ながら跳ねていく。
後ろにできた道のカタチよりも、まだ誰の足跡もついていない前方だけを見ながら。
素敵じゃないか、と思う。
俺が出せる全ての力で支えてやろう、と。


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