1:名無しNIPPER[saga]
2018/06/17(日) 00:48:28.43 ID:39aGjFQ00
つい先刻、みすぼらしい格好をした奴隷商の男が浮かべた下卑た笑みをふと思い出していた。
私の手元には、その男から受け取った古びたカタログと、生血でサインを交わした契約書が一枚。
男は去り際に言った。「ソイツはどうしようもない売れ残りなんですけどねえ。ほんとにいいんですか?」
私は椅子に座ったまま、男を黙って見つめていた。その行為に特に意味はなかったが、
私がそうしていることを不審に思ったのか、男は部屋を出るまで私の機嫌を取ろうと媚びへつらっていた。
私は大きくため息を吐き、使いの者に「男を好きにしていい」と命じる。
さて、あの男はどのような仕打ちを受けるのだろう。私は廊下に響いた断末魔を聞き届けながら、閉じた瞼をもう一度開く。
そうして目の前には少女がひとり跪き、「どうしたんだろうか」と大きな瞳でこちらを見ている。
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2:名無しNIPPER[saga]
2018/06/17(日) 00:53:10.23 ID:39aGjFQ00
悪魔が人を食べて生きているというのは、いうなれば世間の常識だった。
世界の仕組みがいつからそうなったのかということまでは詳しくは知らない。
この世に生を授かったときから私は何も疑うことなく人を食べてきて、
3:名無しNIPPER[saga]
2018/06/17(日) 00:58:02.47 ID:39aGjFQ00
そういう意味では、先ほど奴隷商の男から買った少女は最悪だった。
骨ばった体に加えて、垢にまみれた肌からは、腐敗臭に近い香りをあたりに漂わせていた。
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