優子「希美、部活やめるってさ」
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5:名無しNIPPER[saga]
2018/06/15(金) 00:15:57.90 ID:1KrY7Zfp0

 ◇


「中学校でトランペットパートを担当してました、一年生の吉川優子です!」

「ああ、うん。吉川さんね、これからよろしくー」

パートの振り分けが終わり、二年生と三年生の先輩に挨拶を元気よく済ませた私は、まず一発目の肩透かしを受けることになる。

北宇治高校は過去には吹奏楽コンクールで全国大会の出場も果たす強豪校とは聞いていたけれど、顧問が代わったことでその姿は見る影も無くなり、今では地区大会で銅賞をもらうような弱小校に成り下がっていた。

入部前までは内心その事実に半信半疑ではいたものの、部内全体に纏わりつく怠惰な空気を、私は自らの肌でたしかに感じていた。

「それでさ。今日、部活終わってからどこ行く?」

配属してすぐに始まった一年生の自己紹介が終わると、どこからともなく名前も知らない三年生のひとりが口を開いた。

ふと気が付けば、それに加わるように既に自分たちの会話が始まっていて、
所在の行き場を失った私を含めた一年生は、手持無沙汰のまま、机の上にお菓子を広げだした先輩たちを、籠の外に放り出された文鳥のように、ただぼんやりと眺めていた。




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