13:名無しNIPPER[saga]
2018/06/15(金) 00:45:36.91 ID:1KrY7Zfp0
「そう言えば、さっきフルートの一年生と話していたみたいだけど」
「希美のことですか?」
私が尋ねると、香織先輩はちいさく首を縦に振った。
「同じ学校だったんですよ。傘木希美って名前で、中学では部長やってました。南中から吹奏楽をやってた子、他にもたくさんいますよ。ほら、あっちでオーボエを吹いてる子も、そうです」
私は教室の向こうでひとり音を鳴らす女の子を指さし、あの子は鎧塚みぞれって言います。と付け加えた。
「ふふ、そうなんだ。今年は頼もしい後輩がたくさん入ってくれて嬉しいな」
そうして、しばらくの間、香織先輩と話していると、ふと後ろから香織先輩を呼ぶ声が聞こえてきた。
それが三年生の先輩であることを私が知るよりも先に、香織先輩はこちらを気にするように「ごめんね、」とちいさく手を振り、名前を呼ばれた方へと足早に駆けて行った。
私は、そんな香織先輩の姿が消えて見えなくなるまで、振り返した手をとめることはなかった。
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