渋谷凛「梅雨のおかげ」
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12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/06/11(月) 00:56:53.44 ID:m7wvDgMq0



「じゃあ、聞いてあげる」

「梅雨はさ、雨が多い」

「梅雨だからね」

「つまりこうして凛を送っていく機会というか、口実も増えるわけで。それはお得だな、って思ったわけ」

「そっか」

「うん」

「やっぱり梅雨は難しいね」

「梅雨は難しいな」

左の方向指示器を出して、車がゆっくりと減速していく。

私の家の前で完全に停止して、プロデューサーがドアのロックを解除した。

「でも、私も、ちょっとだけそう思うかな」

「ちょっとだけ?」

「うん。ちょっとだけ」

くすくす笑い合って、プロデューサーが「じゃあ、また」と切り出す。

私が「うん。また」と返して、シートベルトを外した。

後部座席に手を伸ばして、傘を取る。

ドアに手をかけたところで、プロデューサーが「ああ、それと」と言って、携帯電話の画面を私に見せた。

「さっきの凛の寝顔」

「消して」

台無し。



おわり



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