13: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/10(日) 10:05:45.99 ID:xrfaXa2T0
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そんな今思い出してみたって恥ずかしい、
自分の丸め込まれやすさというものを嫌と言うほど味わった一件からしばらく。
もっと大人にならなくちゃ。そう心に誓って劇場での日々を過ごす私のもとに、
プロデューサーさんがあるお仕事のお話を取って来て下さいました。
「歌織さん、恋人になりましょう!」だなんて、心底こちらを驚かせるような言葉と共に。
「こっ、恋人にですかっ!?」
応える声が裏返っているのが分かります。
おまけにそれが、どれほどリラクゼーションルームの中で響いたのかも。
すぐさま目の前の彼が慌てながら、先ほどの発言を打ち消すように手を動かし。
「ああ、いえ、誤解しないでください! 今のは別に、告白とかそういうワケじゃ」
「も、勿論――勿論ですとも?」
「雑誌の企画なんですよ。テーマが『恋人とのデート』っていう」
説明されて少し安心。
……ところが、彼の大きな大きな言い訳で、
部屋のあちこちからはホッと安堵のため息が聞こえて来る。
その空気を感じ取るだけでも、目の前の男性が常日頃から
どれだけ無作為な優しさを辺りにばら撒いてるかが分かります。
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