渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
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11:名無しNIPPER[saga]
2018/06/08(金) 01:52:50.96 ID:I88sbQdx0
人生で一番ふざけた時がいつかって訊かれても、答えるのは難しいと思う。別に、そんなに優等生な態度でばっかり生きて来たわけじゃないし、あのときはふざけてたなぁ、なんて思い出はたくさんある。
でも人生で一番「まじめにふざけた」ときはっていう質問なら、それはすごく簡単。
「ハッピーハロウィン」
そう言って仮装までしながらプロデューサーに飛びかかった、あの年のハロウィンに違いない。
真剣に準備して、本格的なコスプレもちひろさんに習って、得られたのはよく分からない小洒落たキャンディ一つだった。
「これでいいか?」
なんて笑いながらプロデューサーはその飴を私に手渡して、それから保護者が子供を見るみたいな目で
「別に、悪戯もしていいよ」
なんて言ったんだ。
私は
「別にいい」
ってそっぽを向いた。だけど結局我慢できなくて、用意してた仕掛けをあれやこれやってプロデューサーにぶつけたら、プロデューサーはやっぱりちょっと癪に触る優しい目をするばっかりだった。
もうその頃には私は、プロデューサーが事務所を辞めるのを知ってたし、ゴネてどうにかなるような話じゃないんだろうな、って悟ってた。
プロデューサーもあんまり多くは語らなくて、でも
「ここにいる間は全力でやるから、頑張ろう」
って言ってくれた。だから私は余計なことを考えるのはやめて、少し感傷を取っておくことにした。
まあ、ただの先延ばしだけどね。
でもそれで良かったと思ってる。
おかげでアイドルに集中できたし、その頃から一緒に練習することが増えた卯月や未央とも打ち解けられたから。
もしプロデューサーとのお別ればっかり考えて過ごしてたら、きっと初対面の未央たちに暗い奴だって思われてたんじゃないかな。
…2人?今でも友達だよ、もちろん。
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