12: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/07(木) 23:35:31.73 ID:ODZrmv780
「プロデューサーさんも一緒ですか? 私、どうしてもそれが知りたいんです」
――なんてなんて♪ と誤魔化すことさえしなかった。それだけ私は真剣だった。
彼の返事をジッと待ってる間中、何百回と心臓が、痛いぐらいに胸を叩いていた。
そもそも私は、バカだ。こんな困らせる質問をぶつけたって、
プロデューサーさんは答えてくれないかもしれなかったのに。
「麗花、落ち着いて聞いてくれよ」
自分の名前を呼ばれた瞬間(とき)、私は思わず叫びそうになった。
怖くて、震えて、跳び上がって……この場所から逃げ出したくなるぐらいだった。
でも、ギリギリのところでそうならなかったのは、彼が私をハグしてくれてたから。
「俺も、君のことは好きだ」その一言で指先の震えがピタリと止まる。
彼の言葉に耳を傾ける余裕だって生まれて来る。
「だけどそれはまだ、愛してるって意味の好きじゃない。でも嫌いだって言ってるワケでもない。
大切で、掛け替えが無くて、俺たちの好きの度合いは違いかもしれないけど、
俺も麗花といれば笑顔になれるし、どんなに疲れてる時だっても、君は俺のことを元気にしてくれる」
そうして、彼はゆっくりと、ハグしてた腕を緩めて私の踵を床に下ろしてくれた。
私たちの視線が、噛み合う。
彼はとっても真っ赤な顔をしてて、多分それは、私にだって言えることで。
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