16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/06(水) 05:47:05.33 ID:tfnsu6Oi0
《モバP「出来れば、気のいいお兄さんくらいには思われてたらいいな」》
◇
いやいや、とするように。
俺の視線を遮るように紅潮する頬を掌を広げる。
その仕草もまぁ、愛らしいというか、なんというか。
ふとした瞬間に、流石はアイドルだな、と思い知らされる。
――じゅるる。と。
一瞬だけそんな不思議な音が耳に届いた気がした。
うっかり引っ掛けて、デスクからなにか落っことしでもしたのかと、机の下を覗き込むが、特になにかがあるわけでもなく。
「……気のせいか」
まぁ、そんなこともあるだろう。
一つ嘆息。
それと同時になぜかありすのほうも「ふぅ」と溜息を吐いていた。
不思議と重なった些細な仕草に妙な親近感を覚える。
これが、気が合うというやつなのだろうか。
しかし、十以上歳の離れた女の子相手にこんな言葉を使うのも本人から嫌がられてしまうかもしれない。
まるで思春期の娘を抱える父親のような思考。
これまた、全国のお父さんがたになにを知った気になっているんだ若造が、と怒られそうで。
結局のところどっちつかずな微妙な自分の立ち位置に渋い気持ちになって。
なんとなく、俺は机の端に乗せていた紙パックの飲料から飛び出したストローに口を付けた。
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