勇者「滅びた後の世界で」
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12:名無しNIPPER[saga]
2018/06/13(水) 12:25:04.76 ID:pr/rJ7DAO
天漁師「海に落ちた人間を陸まで届けるのは、並大抵のことじゃあない。それなりに時間がかかります」

天漁師「大体、3京6578兆8975億2478万9527日程度で世界の果てに到着します。そこから陸へ浮上するための準備で6京2541兆6231億3258万5009日、一気に浮上で1京8000兆5858億1234万4525日かかります。つまり10京日。途方もない時間です」

天漁師「ですが、おいらの船は一味違います。人工的に小規模なインフレーションを起こし、その膨張力・爆発力で船をカッ飛ばすんですぜ」

天漁師「しっかり捕まっててくださいよ。振り落とされたら木っ端微塵だ」

天漁師の掌に、宇宙の素が生まれた。急速に広がっていく。次の瞬間、船は光の何千倍ものスピードで進み始めた。海を泳ぐ彗星や小惑星にはいい迷惑だ。

ハゲ「あれはなんだ?」

黒い氷柱のようなものが宙に浮いている。円錐状のそれは、時おり低く無機質な歌声を響かせていた。生物か鉱物かも分からない。途方もなく大きいことだけは確かであった。

天漁師「あれは鍾乳石です」

ハゲ「乳ッ!?」

天漁師「宇宙に散らばるダークマターが長年積もりに積もってできた、鍾乳石なんです」

ハゲ「暗黒乳か。どんな味がするのだろう」

天漁師「鍾乳石を採取して売ろうと目論んだバカ共がいましてね……帰って来ませんでしたよ。どうも、あの辺りは時空が歪んでいるんです」

ハゲ「君子危うきに近寄らず、か」








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