7: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/02(土) 23:29:00.80 ID:a1Hz17K70
「でも志保ちゃん怒ってたんだよね?」
まさしく彼女の振る舞いは、無人の砂浜を駆け抜けるが如く地雷原を闊歩するようなものだったが、
元来受け身な立場に立ちやすい琴葉たち三人からしてみれば、
この危険さえ楽しんでみせそうな麗花の物言いは非常に頼もしく。
「怒ってますよ? でもそれは、仮眠を取ることに怒っていたワケじゃ……」
遂に、地面の下から掘り出された地雷がその姿を人前へと現した。
すかさず琴葉が僅かに身を乗り出し、「麗花さん、ここからは私が聞きます」なんて、
このまま物騒なお手玉を始めかねない無邪気な大人から地雷を取り上げる。
それから彼女は居住まいを正し、相手に警戒心を与えないよう軽く微笑みを浮かべると。
「つまり志保ちゃんは、初めから仮眠を取ることに反対なんてしてなかった……。それじゃあ?」
促すように、決めつけではなく、相手が話しやすい雰囲気をその場に作り上げる。
……志保はその視線をしばし思案するように泳がせると、
「皆さんは、ソファで寝ても平気なんですか?」尋ねられた四人が一斉に視線を交わし合った。
まるで代表したかのように百合子がふるふると首を振ると、「ですよね」と志保が言葉を続ける。
自分の意見が理解された、そのことに微かに口元を緩めながら。
「だからプロデューサーさんも、ここで寝るんじゃなくて和室の方に布団を敷いて。
……じゃないと疲れ、取れないじゃないですか」
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