3: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/02(土) 23:21:31.89 ID:a1Hz17K70
「あれれ? 志保ちゃん怒ってるの?」
そんな彼女の心境を、ピタリと言い当ててしまう北上麗花。
いや、この場合はあえて触れるまでもないことだと誰もが思っていた藪へと、
わざわざ棒を突き刺しに行ったと言うべきか。
案の定、志保は大きな大きな溜め息をつくと、
会議室のテーブルを囲むメンバーの顔をぐるり見回しこう言った。
「怒るべきじゃないんですか?」
苛立ちと、失望、それから少しの侮蔑も混ぜ合わせて。
志保が呆れたように腕を組むと、答えたのは桜守歌織だった。
ついでに説明しておくと、彼女はこの場における最年長のアイドルでもある。
「そうは言ってもプロデューサーさん、一目で分かるぐらい疲れている様子だったから」
「ミーティング中に居眠りされるよりかは……って風に、志保も考えられないかな?」
歌織の言葉に合わせるように七尾百合子も発言する。
志保は歌織と百合子、二人の顔にそれぞれ一度ずつ視線をやると。
「……だけど、本人の為にならないんじゃ」
確かに、ソファの上で眠る男は普段よりだいぶくたびれた様子ではあった。
髪の毛はあちこち毛先が跳ねているし、ネクタイは曲がり、シャツははみ出し、
着ている服もシワシワのヨレヨレで所々小さく破けている。
おまけにズボンの裾は泥だらけ、履いてる靴も片方無い。
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