見崎鳴「教室で脱糞してみる」榊原恒一「……は?」
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24:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 01:24:49.57 ID:PmuEES8m0
恒一「僕らもいずれ、忘れてしまうのかな」
ぽつりと、そんな呟きを漏らすと、鳴は笑い。
鳴「忘れたく、ない?」
そう云って、おもむろに弁当箱を取り出す。
それはあの日、僕が鳴の為に作った手料理を詰めた物で、洗って返すと言われていた。
しかし、受け取ってみると、ズシリと重い。
恒一「何が入ってるんだい?」
鳴「忘れられないもの」
要領の得ない返答に首を傾げつつ、蓋を開いてみると……そこには。
恒一「フハッ!」
僕は中身を確認して、そっと蓋を閉じた。
どうやら『弁当箱』ならぬ。
『便当箱』……だったらしい。
恒一「フハハハハハハハハハハハッ!!!!」
鳴「ふふっ。そんなに喜んでくれるなら、またいつか、持ってきてあげるね」
哄笑する僕に、優しく微笑む鳴。
人形めいたその笑顔とは裏腹に、僕は彼女が確かに生きた人間であることを、実感した。
この手の中の箱の重みが、その証だ。
またいつかと、彼女は言った。
そのいつかは、この先何度でも訪れる。
だって僕らの現象は、始まったばかりだから。
鳴が僕のオムツを取り替え。
便当箱から漏れ出た臭気と、混ざり合う。
病室の消毒液の匂いよりは、よっぽど芳しく、愛おしい香りであると、そう思えたのだった。
FIN
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