【モバマスSS】愛を知らない一ノ瀬志希と彼らの巡礼の旅
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2: ◆TDtVvkz8pSL3[saga sage]
2018/05/30(水) 01:22:53.94 ID:dFhLHRCO0
これだから天才は。
そうぼやきながら俺がノックのひとつもしないでラボのドアを開けたのは、別にいつものことだった。
ズボラなアイツのことだ、呼びかけたってモーニングコールを鳴らしたって、絶対に返事は来ない。
ただ、いつもよりも部屋の奥へ向かう足取りが速かったのに理由があるとすれば、それはきっと心の何処かで、嫌な予感を感じていたからだろう。

「おい志希!もうとっくに仕事の時間、だぞ????」

怒鳴り声は竜頭蛇尾に詰まり、苛立ちはそのあまりに異様な光景の中に霧散していった。
そのラボは、不自然なまでに綺麗すぎた。
普段ならば乱雑に転がされた試験管やフラスコは机上に並べられており、足の踏み場もないほどに散らかされていた、謎の式の記されたノートの切れ端は影も形もない。
床は埃ひとつなく磨かれていて、窓からは流石にもう朝日とは呼べない陽光が差し込んでくる。
そして何よりも、その中心で毛布にくるまり無防備にも転がっているはずの彼女の姿は、何処にもなかった。


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