【たぬき】城ヶ崎美嘉「腹ぺこ悪魔とまんぷく小悪魔」
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52: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/29(火) 03:22:31.12 ID:EFGwLI3E0


 そこで初めてみんなの名前を聞いた。
 プロデューサーと千川ちひろさんはお茶を淹れに行って、依田芳乃ちゃんはおせんべいを取りに行った。


「あの、高垣さん」
「はい? あ、楓でいいですよ」

 前からひっそり聞きたかったことを、今聞こう。

「楓さんは、その……アイドルになってみて、楽しい?」
「ええ、とっても」

 彼女は即答して微笑んだ。
 雑誌や看板に載っている、怜悧で美しいあの表情とはまた違う、日向のような雰囲気があった。


「美嘉ちゃん。遠いところから、よく来てくれました」

 アタシの両手を取って、鷹冨士茄子さんはにっこり笑む。
 見ているだけで安心する笑みに、なぜだかママを思い出した。

「いや、アタシんちはそんなに遠くじゃ……」
「『ここ』はなんでも受け入れる場所です。あなたにもあなたの家族にも、変わらぬ幸がありますよう」

 なんだか、芸能事務所に来た客人にかける言葉というだけでなく――
 もっと広くてもっと長い、アタシの背景にある色んなものへの激励のようにも思えた。




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