【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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845: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/09(土) 21:12:31.14 ID:5zdhLM0A0
みほ「ごめんね、驚かせちゃって。染めようとは思ってるんだけどさ」
小梅「あ、いえ……私こそすみません。それじゃあこっちに」
これ以上私の姿について触れるのをためらったのだろう。赤星さんは話を打ち切ると私を促す。
私はその後に続き、久しぶりに、本当に久しぶりに校門をくぐった。
小梅「こっちです。昼の内に外に出して隠しておいたんですよ」
赤星さんこちらを振り向かずそのまま学校の裏にある練習場、そのさらに奥にある林の中に入っていく。
その後をついていくと、いつの間にか赤星さんの手には懐中電灯があり、街灯はもちろん、月明かりすら雲でおぼろな林の中を頼りない光で進んで行く。
そして、20メートルほど行ったあたりだろうか。赤星さんが立ち止まり、こちらを振り向く。
小梅「みほさん、これですよ」
懐中電灯の小さな光がその車体を映し出す。全体ははっきりとは見えないが、それでもその戦車が何なのか一目でわかった。
みほ「赤星さん、これ……」
小梅「……はい」
暗い林の中にたたずむそれは――――U号戦車だった。
『私は楽しかったわよ。あなたの実力の一端を垣間見れた気がするわ』
『……楽しかった。本当に、楽しかった』
あの日の夕焼けが笑った記憶が、泣いた記憶が、彼女の笑顔がよみがえる。
その奔流で心が一杯になって、私はその場にしゃがみ込んでしまう。
小梅「みほさん……やっぱり、辛いのなら……」
赤星さんの心配そうな声。私はそれにすぐには答えず、ゆっくりと立ち上がり目を閉じて深呼吸をする。
大きく吸った息を、大きく吐く……よし。
みほ「……大丈夫だよ。……うん、大丈夫」
大丈夫だ。少なくとも、今は。
小梅「……わかりました。それじゃあ私が操縦しますから指示お願いします」
みほ「うん。それで、目的地は?」
赤星さんはそれに言葉ではなく懐中電灯で答える。
その光が示す先は――――――
小梅「学校の裏山。山頂、目指しましょう」
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