【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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820: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/02(土) 21:42:39.80 ID:fXHa/LYp0




あくる日、扉から聞こえる声はいつも聞いていたお姉ちゃんの声じゃなかった。


小梅『……みほさん』


弱々しく私の名前を呼んだその人は、赤星さんだった。随分と、久しぶりに聞く彼女の声は、けれども私に何の感動も与えない。


小梅『ごめんなさい、今まで来られなくて』

みほ「別にいいよ。赤星さんだって大変だったんでしょ」


だから帰って。もう来なくても良い。言外にそう言ったつもりであったが残念ながら赤星さんには伝わらなかったらしい。

赤星さんは嬉しそうに息だけで微笑むと、どこか潤んだ声を出す。


小梅『……みほさん、ありがとう』

みほ「何が」

小梅『私を、助けてくれて』

みほ「……別に」


私の言葉を謙遜とでも思ったのか、赤星さんは私を説き伏せるかのように柔らかく語り掛けてくる。


小梅『みほさん。誰もあなたを責めたりしてません。だから……また、学校に……ううん、一緒に遊んだり、なんでもいいんです。前みたいに……』

みほ「無理だよ。もう、エリカさんはいないんだから」


あの人がいない時点でもう、以前のようにだなんて無理なのだ。そんな事、赤星さんだってわかっているだろうに。


小梅『……エリカさんの事は、確かに残念です。けど、それでも、このままじゃいけないって―――――』


ドアに拳を叩きつける。その音に赤星さんが小さく悲鳴を上げる。

何を分かったような事を、何を悟ったような事を。


みほ「残念……?赤星さんにとって、エリカさんの事はそんな言葉で済むような事なの?」

小梅『ち、違っ……私は、ただみほさんが……』


叩きつけた拳を強く握る。

私が、私が何だというのか。エリカさんの事より、私の方が大事だとでも言いたいのだろうか。

……ふざけないで。


みほ「私にとってエリカさんは大事な人だったの。赤星さんは違ったの?」

小梅『わ、私にとってもエリカさんは大切な人でした。でも、でも今はみほさん、あなたの方が――――』


あなたは、あの人の友達だったのに。私が、終ぞなれなかった友達だったのに。

なんで、なんでそんな事が言えるのか。エリカさんはあなたの事を認めていたのに、褒めていたのに、友達であることを嬉しそうに語っていたのに。

あなたにとって、エリカさんの価値はその程度のものだったというのか。ならばもう、これ以上話す事なんてない。




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