【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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809: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/26(土) 20:03:56.03 ID:OnQF/8PI0


冷たく、どこまでも感情の無い声。厳しく、時に非情なまでに冷静な母だという事は知っていたのに、それでも、初めて聞く声色だった。

その言葉に何も言い返せなくなったまほは、悔しそうに顔を歪めると大きく足音を立ててしほたちから離れていった。

その後ろ姿をしほが悲しそうに見つめていると、目の前の少女から泣き声が聞こえてくる。


「そ、そうです……全部、全部私のせいで……ごめ、ごめんなさい……」


頭を抱えて小さく縮こまり、がくがくと震えている。

ひたすらに、まるで呪文のように謝罪の言葉を呟き続けるその姿はあまりにも痛ましかった。

しほは、彼女の肩にそっと手を置くと、ゆっくりと語り掛ける。


しほ「……違います」

「え……?」


その言葉が信じられなかったのか、少女は大きく目を見開いてしほを見つめる。


しほ「あなたは、チームのためにできることをしただけです。事故は、あくまで事故でしかない。あなたに否はありません」

「だって……だって私のせいで……」


その言葉をしほは首を振って否定する。


しほ「違います。もしも非があるとすれば私たち運営側の人間です。あなた達選手に罪はありません。……あってはいけません」

「そんな、そんなの……」


許されたのに、非は無いと言われたのに、少女はまるで嬉しそうではなく、むしろその瞳は絶望している様に揺れていた。

無理もない。たとえ非はなくとも、知らぬ間に引いた引き金の意味を知った以上、自分に非は無いなどと言われたところでどうやって納得しろというのか。

それでも、その責を背負うべきなのは小さな少女ではなく、私たちなのだ。そう思ったしほは今一度少女に語り掛けようと口を開いて、



「あああああああああああああああっ!!?」



病室から聞こえてきた絶叫に振り返った。


まほ「みほっ!?」


離れてしほたちを見つめていたまほが、絶叫を聞いた途端病室に飛び込む。その後をしほが追う。

病室のベッドでは、先ほどまで眠っていたみほがこの世の終わりのような顔で、叫んで、暴れているのを看護師たちに押さえつけられていた。


みほ「離してっ!!離して!!?エリカさんが、エリカさんのとこにっ!!」

「西住さーん、大丈夫ですよー」

「尖っているものは隠して」

「はいっ」


看護師たちがみほを宥めようとどこか抑揚のない声を掛け続ける。

それを、まほは呆然と見つめていた。


まほ「みほ……」


その呟きはみほの耳には届かない。いや、聞こえていたとしてもきっと何も変わらないだろう。

みほはでたらめに手足を振り回し、何もない虚空に叫び続ける。




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