【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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756: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/05(土) 17:46:56.94 ID:sbkqZ6WF0




みほ「……」


薄暗い戦車の中、重苦しい空気が漂っている。

決勝の火ぶたはとっくに切って落とされ、試合開始からすでに2時間近くが経っていた。

状況はあまりよくない。使う予定だった大通りはすでに封鎖されており、中途半端な突撃では無駄死にするのがオチだ。

伏兵が潜んでいるのは間違いない現状、火力機動力防御力に優れたプラウダに対して正面突破は流石に分が悪い。


まほ『釣られた。というわけか』


無線から聞こえる隊長の呟き。恐らく敢えてのものだろう。私の意見を求めているということか。


みほ「……そう思う」


自軍を前に出してこちらとの正面対決と見せかけ、機を見て後退。それを追ってきた相手を包囲する策。

字面だけ見れば単純だかもちろんそんな簡単な事なら私たちが、いや、隊長が追いつめられるわけがない。

プラウダは本気でこちらに攻撃を仕掛けてきて、その上で絶妙なタイミングで退く事でこちらを釣り上げた。

相手の指揮官はかなり優秀らしい。正直お姉ちゃん以外が隊長だったらすでに包囲され殲滅されてただろう。

その策にいち早く気付けたからこそ、いまの膠着状態に落ち着いているのだ。

向こうもこちらを見失っている。

恐らく今は大通りを固めつつ少数で索敵をしているのだろう。

このままではジリ貧。頭の中で何度も考えていた策が、今こそ役に立つかもしれない。

私は覚悟を決め、無線を送る。


みほ「隊長」

まほ『なんだ?』

みほ「隊を二分して川沿いの崖を通って相手の裏手に回り込みましょう」

まほ『崖?確かにあるが……』


その声色は疑問を呈している。

当然だろう、道と言えるものはあるものの、崖という呼称に相応しく戦車一輌通るのがやっとな細さなのだから。

出来る事なら私もこの手は使いたくなかった。しかし、今は一分一秒が惜しい。


みほ「実はね、ちょっと使えるかもって調べておいたんだ。戦車数両程度なら問題なく通れるはずだよ」


多少の懸念はあるものの、別の試合で同じ道を使った例もあり少なくとも私たちの戦車で通る分には大丈夫だと判断した。


みほ「隊長が指揮する部隊は正面に出て敵を抑えてて。別動隊は私が指揮して後ろに回り込む」

まほ『だが……フラッグ車が前に出るのはあまり賛成できないな』


それもまた当然だろう。正面の敵を抑えてもらうという事は必然的に私が率いる部隊は少数になる。

それで隠れているのならともかく、敵の後ろをかくために前に出るのだ。

だが、それでも。


みほ「プラウダに押されている現状、1輌でも戦力は無駄にできない。私が考えた策である以上、私が別動隊の指揮をする方が確実です。

   隊長、ここは勝負にでましょう」

まほ『しかし、わざわざフラッグ車を危険にさらすような真似は……それならば重戦車を盾に中央突破の方が安全だと思うが』



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