1: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:00:09.69 ID:gNZChRei0
ある日、男は決心した。
「歩こう……どこまでも、どこまでも」
男は歩き始めた。
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2: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:03:09.70 ID:gNZChRei0
男が歩いていると、ある夫婦が喧嘩をしていた。
「ふざけるな! なんて身勝手な女だ!」
3: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:06:04.91 ID:gNZChRei0
「お二人ともすごい汗ですね。もしかして、よほど歩いたんですか?」
それだけいうと、とっとと歩いていってしまった。
4: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:09:12.90 ID:gNZChRei0
男はある村にたどり着いた。
そこでは村民同士が村の行く末について論じていた。
5: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:12:05.59 ID:gNZChRei0
ある村人が男に聞いた。
「あんたはどう思う? この村を開発すべきか、このままにしておくべきか」
6: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:15:05.24 ID:gNZChRei0
歩き続ける男は、ある大きな町に到着した。
町は町長選挙の真っ最中。
7: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:18:04.25 ID:gNZChRei0
二人の候補者は、男の歩く姿をじっと見つめた。
「なんと美しいフォームだ……!」
8: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:21:07.57 ID:gNZChRei0
ある民族同士が、にらみ合い、殺気立っている。
二つの民族は長年いさかいを続けており、それがいよいよ爆発寸前となったのである。
9: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:24:05.77 ID:gNZChRei0
突然の乱入者に、困惑する二つの民族に対し、男は歩きながらつぶやいた。
「なぜ争ってるんですか? みんな、歩けば汗をかくのは変わらないのに……」
10: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:27:05.76 ID:gNZChRei0
男は地雷原に着いた。
当然、地雷原を管理している兵士が止めに入る。
11: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:30:13.82 ID:gNZChRei0
男をおそるおそる見守る兵士たち。
やがて――
12: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:33:15.65 ID:gNZChRei0
血と煙と銃弾と悲鳴が飛び交う戦場。
むろん、男はペースを落とさず歩き続ける。
13: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:36:05.92 ID:gNZChRei0
男が通れば、戦闘が止み、戦場が静かになる。
歩く男の姿には、戦いをやめさせてしまう何かがあった。
14: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:38:22.42 ID:gNZChRei0
男が歩いていると、複数の人間が男の前に立ちはだかった。
彼らはみな、国の指導者である。
15: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:41:04.36 ID:gNZChRei0
しかし、銃を向けられても、男の態度は変わらない。
「私は歩きます。撃ちたければどうぞ」
16: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:44:04.56 ID:gNZChRei0
しばらくして、この地から争いらしい争いはすっかり消えてしまった。
まもなく皆は、この地を平和にした男を捜したが、もはや行方は分からない。
17: ◆xGZ8epJNzU[saga]
2018/05/20(日) 16:47:28.70 ID:gNZChRei0
いつしか人々は男のことをこう呼ぶようになった。
この地から戦争をなくしたことから転じて、戦争をもひれ伏させた偉大なる王、
18:名無しNIPPER
2018/05/20(日) 17:46:27.20 ID:VxEA05Bfo
珍しく静かな落ちだな
おつおつ
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