3: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/05/17(木) 12:23:46.66 ID:Fypyj9yR0
なんてこったいと空を仰ぐ。
深くて広い頭上の海が広がってる。
誰しも心は網目模様。
自分がとんだ寂しんぼだという事実に図らずもぶち当たってしまい、
これもある種のハプニングだねと瞼を閉じて胸いっぱいに息を吸い込む。
それで満たされるってワケでもないのにさ。
だけど感じて嬉しい夜の匂い。
シンと冷たい風が運ぶ少し湿った土の香り、辺りの木々の噂話。
そして――そうそうこれこれ♪ 山に来て忘れちゃいけないよね、食欲をそそるカレーの匂い!
「……って、んなわけあるかー! 折角の雰囲気ぶち壊しじゃん!」
「茜ちゃんなにに怒ってるの? はい、ラーメンお待ちどーさま♪」
返事をする代わりにくしゅん! と小さなくしゃみが出た。
鼻をすすって振り返れば、湯気の立つカップラーメンを手にした麗花ちゃんが後ろに立っていた。
ここに来る途中のコンビニでプリンと一緒に買っておいて、お湯は車用のケトルで沸かして作った夜食。
プラスチックのフォークも受け取ったら、熱々の麺を口に運ぶ。……美味しい。
いつでもどこでも誰とでも、変わらない味でそう思わせられるカップラーメンは実に偉大。
隣に立ってる麗花ちゃんも、自分と同じように感じて、おんなじ気持ちでいたりするのかしらん。
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