僕の許嫁はかわいいけど冷たい Part1
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6:TheNesandazo
2018/05/16(水) 01:03:10.23 ID:t/UODRmM0
『まあ今から9年前にじゃが、ワシが当時持っていた剣道の道場に通っていた弟子の一人の娘との婚約を結んだんじゃよ。』
「・・・。」

 岳が説明を始めたので、優はまだ激しく鼓動する心臓の音を聞きながら話を聞く。

『まあこの9年間、お主は色恋沙汰が全くなかった。これっぽちといっていいほどに。』
「うぐっ。」

 少し気にしていることを突かれて思わず優は声を漏らす。彼は祖父から体力づくりと精神力を鍛えるためとして、剣道を習っていた。まあもっとも今はまったくそういった技術は
使わないのだが。中学の部活動も剣道部に所属していて、特別結果を残したわけではなかった。しかし、中学の時間のほとんどはそれに注ぎ込んでいた。そんなこともあり、彼は周
りで起こる色恋沙汰は9年間指をくわえて眺めているだけであった。


『せっかくなんじゃ、どうせうまくはいかんじゃろうが将来のために女性に慣れておくというのも悪くはないじゃろ。』
「まるで、婚約が成功しないみたいな言い方だけど。」
『いや、お主鈍いっていうかアホじゃもん。』
 
 実の祖父にアホといわれて衝撃の走る優。彼は学業は悪くないのだが、会話において謎の解釈や飛躍をしたりすることがある。ある人は普段がアホすぎるといい、ある人は異世界
から電波でも受信しているのではと言う。

『まあそういうわけじゃから、うまくやるんじゃぞ。』
「えっ、ちょっとまって・・・。」

 優の静止も空しく、通話は切れてしまった。急いで再び電話をするが出ない。5回ほどかけ直してみたのだが、今度は電源を切られたようで電子音声が聞こえてきた。

「どうすればいいんだろう・・・。」

 とりあえず朝ご飯にしようと、優はテーブルに置いた菓子パンを手に取って食べ始める。


「どうしよう・・・オシャレとかしたほうがいいのかな。部屋はちゃんと片付けているし。後で晩ご飯の食材を買いに行こう。」


 今夜は鮭のムニエルかなと、暢気なことを考えながらテレビをつけた優はまだ知らなかった。これから始まる出来事を。


『はい、私白鳥 黎は本日より婚約者が出来ました。』


 点いたテレビはニュース番組、そこには美しく長い黒髪と強い意志の宿った赤い瞳をもつ少女が報道陣との会話をしている場面であった。






今日はここまでです。


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