5:TheNesandazo
2018/05/16(水) 00:29:38.44 ID:t/UODRmM0
〜僕の許嫁は可愛いけど冷たい〜
小鳥が気持ちよくさえずいている清々しい朝。昨晩の暗闇は面影もなく、空には太陽がキラキラ輝いている。そんな朝をぶち壊すように、とある家の固定電話が少しうるさく呼び出し音を
鳴らし主を呼び出している。それに伴いドタバタと忙しい足音が大きくなってくる。
「うげぇ!?」
変な声と同時に何かが床に落ちた音が家中に響いた。しばらくして、その音を出した張本人がリビングに入ってきて電話の受話器を取った。
『お〜優。ずいぶんと出るのが遅かったが風呂にでも入っておったのか?』
「ごめんね、おじいちゃん。寝起きでボーとしながら階段を下りたらものの見事に床に叩きつけられちゃってね。」
車に轢かれた蛙のように床に叩きつけられた樹 優は苦笑いをしながら電話の向こう側にいる祖父、樹 岳と話をする。
『そ、そうか。気を付けるんじゃぞ。せっかくの一人暮らしなんじゃから。』
「うん。僕ももう高校生だから大丈夫だよ。」
優のそのセリフに岳は安心し、言葉を続けた。
『そういえば優、お主に許嫁が出来た。』
「そうなんだ。」
『今日の晩頃にお主の家に着くと思うから迎えてやるのじゃぞ。美人だから楽しみにしておくといいぞ。』
「うん分かった。それじゃあね。」
優は落ち着いた口調で岳にさよならを言って受話器を置いた。そのまま彼は台所へ向かい、菓子パンを取りだし袋を開け・・・
「ちょっと待って!?」
菓子パンをテーブルに置いて再び祖父へ電話をかけ直す。その表情は何か鬼気迫るようなものであり、こめかみが痙攣を起こす程
動揺をしている。
『どうしたんじゃ、優。』
「どうしたじゃないよ、おじいちゃん!!僕に許嫁が出来たってどういうこと!?」
岳は優とは対照的に面白そうな口調で話し始める。
『つまりお前に彼女が出来たんじゃよ。』
「それは分かっているよ。なんでそうなったの、っていうか色々と段階がフライアウェイしているよ!!」
『ワシ、英語はよう分からんから日本語で話してくれんか?』
「とりあえず説明を!」
優は息を切らして、肩で揺らして息を整える。未だかつてないほど彼の顔は赤く染まり、心臓はバクバク動いている。
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