ジータ「リーシャお姉ちゃん」
1- 20
14: ◆hQrgpWdMp.[saga]
2018/05/15(火) 21:53:23.06 ID:TeqkJU5v0
「ビィを抱っこしてもやっぱり全然違うって感じちゃって、それからビィを抱っこせずに寝るようになったの」

「そうだったんですか。そういう点でも成長を促せていたんですね」

それからしばらくして、泣き止んだリーシャとジータは池のほとりで身を寄せ合い、別れた後のことを語り合っていた。

「私もなんだか恋しくてモニカさんにお願いしてみたんですけど、さすがにあの頃のジータよりは大きいですから」

「それモニカさんに言ったら怒られちゃうね」

互いに寂しいと思っていた、同じ気持ちだったのだと思うとリーシャの胸が少し熱くなる。ジータも同じだったのか、少し頬を赤らめてリーシャの胸に倒れ込んできた。

「抱っこ」

「ジータは私を抱っこしてるつもりだったんじゃないんですか?」

「お姉ちゃんの方が大きいのに抱っこしてるつもりになんかなれないよ。される方が気持ちいいんだってあのとき気づいたの!」

「もう、成長促すどころか逆に子供っぽくしちゃってたんですね」

そう言いながらも倒れ込んだジータの体をリーシャはしっかり抱きしめ、やわらかな金髪を梳くようにしてなでる。
しばし2人は言葉もなく抱き合う。互いに成長し身長差も縮まったが、それでもあの頃と変わらない……いや、あの頃よりももっと強い心地よさに浸る。

「約束、ちゃんと守ってくれたね」

幸福な静寂を破り、ジータがポツリと呟いた。

「私の意思ではありませんけどね。それに、もういつ戻されるかわかりません」

「そっか、もう帝国は滅んだようなものだから……」

リーシャのその答えにジータは残念そうな、寂しそうな顔をして考え込み、自分より少し高めの位置にあるリーシャの顔を見上げた。

「秩序の騎空団をやめて、本当に入団するのは……」

「……」

「だめ、だよね……」

「はい。複雑な感情ですが、秩序の騎空団も私の大切な居場所なんです。重荷も色々と背負わされてしまっていますけど、それでも父さんの団だから」

躊躇いがちなジータの問いにリーシャは申し訳なさそうに、けれどはっきりと頷く。

「それに、ここで止めたら頑張ってないって思っちゃいます。ジータのお姉ちゃんとして胸を張れません」

「リーシャお姉ちゃん……」

悪戯っぽく笑ってリーシャはそう続けた。憧れを持ち続けてくれているのなら、そうあり続けようと努力をすることに決めたのだ。

「だけど、ジータと一緒にいたいという気持ちがないわけではありませんよ。むしろ、その気持ちの方が強いというか……」

「……」

正直な気持ちを言うと気恥ずかしくなり、リーシャはジータから顔を逸らしてしまう、

「リーシャお姉ちゃん」

「なんっ――」

甘えたことを言ってるだろうかと少し不安を感じ始めていたリーシャがジータに呼びかけられ、顔をそちらに向けて答えようとしたところで言葉に詰まる。唇を塞がれたのだ。ジータの唇で。
何が起こったのかリーシャには理解できなかった。ただ睫毛の長さまでわかるほどにジータの顔が近くにあることと、唇に触れる柔らかな感触に困惑するばかり。

「……っ」

しばらくしてジータはゆっくりとリーシャの唇から自分の唇を離すと、リーシャの胸にしなだれかかるように顔をうずめた。

「ジータ……なにを……」

「いつか離れるなら、一緒にいる今、やりたいこと全部したい。もっと、リーシャお姉ちゃんと近くに……!」

呆然とした声でリーシャが問いかけると、ジータは再びリーシャの顔を見上げてそう答えた。真剣で、どこか色気を感じる濡れた声。

高鳴る心臓の音は自分のものか、それとも触れ合った胸から伝わるジータのものか、或いはその両方なのか。今のリーシャにはわからない。
ただ今度は少し口を開いて近づいて来るジータの顔を見つめることしかできない。

「ジー……タ……」

「リーシャ、お姉ちゃん……」

互いの名を呼び合い、指を絡ませ、2人の顔の距離は近づいていく。リーシャも少し口を開きジータの唇の奥に見える艶めかしい赤色を招き入れるように、自分のそれを伸ばして――


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
18Res/34.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice